国境を越えた取引や相続などが行われた場合、そこから生じた所得は、どちらの国に課税されるのでしょうか。所得を得た人の居住国でしょうか、それとも、サービスや資産異動が発生した国でしょうか。また、二重課税が発生しそうであれば、有効な防止策を講じておく必要があります。これらの問題を、一般に「国際税務」と呼びます。
1源泉所得税の徴収義務(外国法人・非居住者に対する課税)
外国法人や日本に住んでいない人に対して金銭を支払う場合、支払う側に源泉徴収義務が発生します。このとき、所定の届出をすることで、源泉徴収義務が減免または免除される可能性があります。これらは、二国間の租税条約により異なるため、事前に確認をしておく必要があるでしょう。
2外国税額控除制度
国内法人か国内に住んでいる個人が所得を得た場合、その種類を問わず申告課税をしないといけません。仮に海外で得た所得に対し、その国でも納税をしていたのであれば、二重課税の問題が発生してしまいます。この不利益を是正するのが、外国税額控除制度になります。
3過少資本税制
国内の法人が、国外の株主から一定以上の借入をしている場合は、支払利息による損金を認めてもらえない可能性があります。あえて収支をマイナスにすることで、税負担を逃れるケースが考えられるからです。当事務所では、この確認を事前に行うとともに、適正な申告手続きをサポートいたします。
4タックスヘイブン対策
一部の国では、法人税などの税率を極端に抑えることで、海外資本の流入を図ろうとしています。文字どおり「税金天国」というわけです。このこと自体は違法になりませんが、納税の不公平さが問題となるにつれ、各国で規制を強める動きも生じています。
事案によってまちまちですが、ここでは、「個人で海外にアパートを所有し、不動産所得を得ている」ケースを想定してみます。一方の国で未申告が続いていたため、その事実が売却の障害となり、資産価値が硬直化してしまいました。こうした場合、過去にさかのぼって申告をし直し、「使える収益」にすることが求められます。